アマルガムは長い間、歯の治療に使用されてきた材料の一つです。しかし、その使用には賛否両論が存在します。この記事では、アマルガムの歴史、メリット、デメリット、そして現在の代替材料について詳しく解説します。
アマルガムとは？
アマルガムは、歯科治療で使用される金属合金で、主に銀、スズ、銅、亜鉛の粉末と無機水銀から成り立っています。特に、アマルガムの約50％は水銀で構成されており、この水銀が健康への懸念の原因となっています。
アマルガムの歯科治療における歴史
アマルガムは、水銀と他の金属との合金であり、歯科治療においては長い間、詰め物や補綴物として使用されてきました。最初のアマルガム使用の記録は、1826年にフランスで確認されています。この時、銀貨をヤスリで削り、その粉と水銀を混ぜて使用したのが最初とされています。
1926年には、アメリカでアマルガムの規格が定められました。この規格の確立により、アマルガムの品質が向上し、治療の効果も安定しました。ヨーロッパや日本でも、研究者たちによってアマルガムの性能が向上し、広く使用されるようになりました。
特に1980年代まで、アマルガムはその硬さ、硬化時の膨張特性、殺菌性の高さなどの特性から、広く歯科治療に使用されていました。しかし、20世紀後半になると、アマルガムの主成分である水銀が健康に悪影響を及ぼす可能性が指摘されるようになりました。実際、スウェーデンやイギリス、デンマーク、ドイツなどの国ではアマルガムの使用が禁止されています。
近年の歯科界では、金属を使用しない「メタルフリー」の方向にシフトしており、アマルガムの使用は大幅に減少しています。これは、アマルガムに含まれる水銀が体内に取り込まれることで、神経系や腎臓などに影響を及ぼすリスクがあるとの報告がなされたためです。
アマルガムのメリット
耐久性
アマルガムは長期間にわたってその機能を保持することができます。これにより、一度治療を行えば、長く持続することが期待されます。
固まりやすさと加工性
アマルガムは「固まりやすく溶けやすい」という特性を持っており、これにより歯科材料としての加工が容易です。
二次カリエスの予防
アマルガムを使用した治療後の歯は、再び虫歯になること（二次カリエス）が少ないとされています。
アマルガムのデメリット
有害な成分の放出
アマルガムが腐食すると、水銀が微量に放出される可能性があります。水銀は神経毒として知られており、長期的な曝露は神経系や腎臓、免疫系などに影響を及ぼす可能性があります。
金属アレルギー
アマルガムに含まれる金属成分に対するアレルギー反応が起こることがあります。これは、アマルガムの腐食により金属イオンが放出されることが原因とされています。
口内の変色
アマルガムの腐食により、詰め物の周辺の歯や歯茎が変色することがあります。これは審美的な問題として患者に不快感を与えることがあります。
劣化と腐食
アマルガムは、口の中の環境や摩擦によって表面が劣化し、腐食する傾向があります。この劣化や腐食は、上記の健康被害の原因となることが懸念されています。
アマルガムの代替材料
近年、アマルガムの使用に対する懸念から、樹脂系の充填材料やセラミックなどの代替材料が増えてきました。これらの材料は、美観や健康への影響を最小限に抑えることができます。
まとめ
アマルガムは長い歴史を持つ歯科治療材料であり、そのメリットとデメリットが存在します。新規の治療においてアマルガムを使用することは、現代の歯科医療においてはほぼ考えられません。すでにアマルガムが使用されている場合、その取り扱いには様々な意見が存在します。
一部の医師や医療機関は、アマルガムの除去は不要との立場を取ることがあります。一方で、積極的に除去すべきとの意見も存在します。さらに、アマルガムを除去する場合には、適切な設備や手段が必要との指摘もあります。
アマルガムの除去を検討する際には、その必要性や除去方法について、複数の立場の専門家の意見を参考にすることが重要です。健康や安全を最優先に考え、慎重に判断を下すことを強くおすすめします。
参考文献
- NOAH 表参道クリニック「アマルガムとは？知っておきたいアマルガム除去の危険性」
- 人形町きんざ通り歯科クリニック「歯の豆知識」
- ながさわ歯科クリニック「アマルガムについて」
- 中川駅前歯科クリニック「アマルガム合金」
- いぬい歯科クリニック「アマルガムという水銀のつめものの歴史」
- 高峰歯科クリニック「アマルガムの利点、欠点」
- デンタルサロン・プレジール「除去したほうがいい？ 人体に悪影響を及ぼすアマルガムについて」
- ひとみ小町歯科「アマルガムの危険性」
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